看護師:20代で老健に就職ってどうなの?~業務の実際とメリット・デメリット~

 

こんにちは。

 

老健【老人保健施設】への転職をお考えですか?

施設は病棟と違ってそこまで忙しくなさそうだけど、正直ベテランのおばちゃんが働いていそうなイメージなどがありませんか?

 

看護師6年目、27歳の時に老健に就職した私が、業務の実際とメリット・デメリット、他職員とのバトル(笑)をお話ししたいと思います。

 

こちらはこの老健で1回4万円の夜勤について書いています⇩

nsbinich.hatenablog.com

 

 

老健といっても施設によって業務内容やお給料、人間関係(笑)はかなり異なりますが、私が実際に勤めてみての経験を表向きの理由だけでなく、ちょっとブラックな部分も交えてご紹介していきます。

 

まずは簡単にメリット・デメリットを、、、

 

 

◇メリット

  • 病棟の業務量に比べて明らかに老健での看護師の業務量は少ない
  • 定時で帰れる
  • 業務前に情報収集をする必要がないため、早く行く必要がない
  • お給料UP
  • 病院を退院した後の患者さんの生活されている様子を知れる
  • 介護士さんの介護術を盗むことができる

 

◆デメリット◆

  • 思うように看護はできない
  • 医療行為が少ないため自分の技術や知識が低下してないかたまに不安になる
  • 暇すぎて時間が経つのが遅く感じる
  • 苦手な人(入居者さん)とも長く付き合っていかなくてはならない
  • 同年代の看護師がいることは稀

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◇メリットの詳細

①老健での看護師の業務について

基本的には、体調不良者が出たときだけ看護師さんお願いしますスタンスです。

日勤での業務を思いつくままに書いていきます

  • 業務開始の10分前くらいに出勤し朝食の食事介助や下膳を行う
  • リーダーは引継ぎに参加(看護師だけでなく介護士、ケアマネ、栄養士、リハビリ、相談員がいる)
  • 内服薬の管理はしますが投与は介護士さんもしてくれます
  • 処置リストは基本的に軟膏塗布ばかり
  • リーダーは医師とカンファ
  • お風呂当番は処置よりも着脱がメイン
  • 入所があればリーダーは受け入れに対応
  • 見守りという名のお茶配りとトイレ介助要員
  • 経管栄養と口腔ケア、吸引
  • 急変時や体調不良時の対応
  • 受診の際の付き添い    等

 

リーダーはメンバーに比べて業務があるように見えますが、基本的にメンバーの仕事が少ないため余裕でこなせます。ただでさえ業務が少ないのにこれを看護師5人くらいで行っているから正直、仕事の取り合いみたいになっているときもあります。

 

ちなみにこの老健には薬剤師さんが常在してくれていたので内服の管理に関しても業務は軽減されていたと思います。

 

②定時で帰れる

残業したのは病院受診の付き添いをして定時を過ぎてしまったときくらいです。

毎日定時で帰れると、私生活にもかなり余裕ができます。私は老健で働きながら日本語教師養成講座に通っていました。

 

③業務前に情報収集の必要がない

受け持ち性ではないし、情報収集をするほどの情報もないので業務前に早くいく必要はありません。重要なことは口頭の引継ぎで行われます。

 

④お給料UP

平均して手取りは32万/月くらいでした。暇すぎるくらいの業務をしているのに、お給料がUPしたのはとても嬉しかったです。ちなみに夜勤は4,5回/月していました。

 

⑤病院を退院した後の患者さんの生活されている様子を知れる

急性期の病棟にいると、在院日数が~、リハビリ転院だ~となんだかんだで、患者さんはあっという間に退院してしまいます。それに比べて老健は治療後の患者さんの生活している様子や慢性疾患とうまく付き合いながら生きていいくリアルな姿を知ることができます。

また、病院ではありえない終末期の迎え方なども経験でき、違った角度での深い学びを得ることができます。

 

⑥介護士さんの介護術を盗むことができる

本当にたくさん学ばせていただきました!話し方や食事介助の仕方など、同じ業務でも介護士さんからの視点は新鮮なものがあり、病棟でも生かせそうなことはたくさんありました。

 

 

 

◆デメリット

ここからが本題です。(笑)

業務が少なく、お給料がいいのに退職したのにはやはりそれなりの理由があります。

 

❶思うように看護はできない

一番つらかったのはこれですね。病棟で働いていたら、その日の受け持ち患者さんの状況から判断して、その時に一番いいケアや処置を提供することができますが、老健では難しい場合が多いです。これにすごくもどかしさを感じてしまい、葛藤する毎日でした。

 

事例1⃣

膀胱留置カテーテルを使用している方の尿が混濁しており、感染の兆候がありました。そこで介護士さんは普段、陰洗の際は石鹸を使用していないことが分かったので石鹸を使用するように変更してほしかったのですが、看護師の指示で介護業務を変えるのはなぜか簡単ではないらしく数日待つ必要がありました。理解に苦しみ上司とややバトル。

 

事例2⃣

褥瘡を繰り替えしており、自力では動くことができない方だったのでエアマットを提案しました。❝褥瘡には除圧!!❞というのが病棟では当たり前ですが、老健の看護師業界にはまだその知識が浸透していないようでした。こんなに当たり前なことなのに、上司はYESと言ってくれず、防水シートがどうのこうのと言い、エアマスを使用するまでに数日かかってしまいました。

 

事例3⃣

経管栄養の患者さんが嘔吐していました。食直後に体位交換したからちょっと吐いてしまった、、、とかのレベルではなく明らかに噴水のごとく嘔吐。明らかに低Naの兆候が見られたので上司に報告しましたが、採血は外注になり費用も施設負担となるため少し様子を見るとのことでした。上司は少しづつ医師を説得し採血の指示をもらってくれましたが、やはり低Naでした。老健の保険やサービスの制度については少しづつ理解していますが、患者さんが苦しんでるのに様子見みたいなことが多くてなんだかなーと思うことがそこそこあります。

 

事例4⃣

何でもかんでもケアマネを通さなければならない。逆にすべてケアマネがやってくれると思えば楽なのかもしれませんが、医療面のことをご家族に話すときはせめて看護師に話させてほしいな、と思います。

 

事例5⃣

嚥下食に関してはST、栄養士、医師で決めていました。このお3方は日中しかいないし、食事中にずっと見ているわけでもないので、カンファや引継ぎの時に嚥下の状態を話しても、「だから何?嚥下に関してはこちらで管理するんで(゜-゜)」って感じの顔されます。

でも、食事が詰まったり、肺炎になって対応するのは私たち看護師ですよね?と最後までお3方に言ってやれなかったのが本当に心残りでなりません。爆

食事中のむせこみがひどい方がいて全体のカンファでも話題になっていたので、麻痺側にたまらないように一口量に注意しながら食事介助をして、ほぼむせこみなく摂取できていたのに、たった1回むせこんだところを見て「横に張り付いて食事介助しているからだ。」と言われたときはもうどうしていいのかわからなかったですね。

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❷医療行為が少ないため自分の技術や知識が低下してないかたまに不安になる

採血や点滴はめったにないので、久しぶりだと少し緊張します。

 

❸暇すぎて時間が経つのが遅く感じる

これもなかなか苦痛なものです。

 

❹苦手な人(入居者さん)とも長く付き合っていかなくてはならない

私たちも看護師以前に人間なので正直苦手な入居者さんもいらっしゃいます。病院に比べると長くその方々と付き合っていかなければなりません。病棟だと数か月、数週間我慢すれば転院するということだけを考えてしまいますよね。

 

❺同年代の看護師がいることは稀

20代は私だけでした。看護師課長は30代半ばの男性、副看護課長は30代前半男性と老健にしてはなかなか特殊な環境ではあったと思います。あとは、40代、50代の方でした。

私はこの老健で初めて准看護師さんと働きました。❝准看護師は正看護師の指示の下で働く❞なんてフレーズよく聞きませんか?しかし、指示を出したことは一度もありませんでした。むしろ副看護課長は准看でした。准看とは何なんだろうとか、と謎が深まるばかりです。

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最後に

老健看護の一例の一部にすぎませんが転職を考えている方の参考になれば嬉しいです。

老健で働く看護師さんの中には介護士さんとの関係性がうまくいかないとの話を聞くこともありますが、私は運よく介護士さんと仲良くさせてもらっていました。

しかし、介護士さんとの関係性が崩れやすいのも労働環境からなんとなく理解できます。ときに専門職として、年上の介護士さんに物申さなくてはならない時があり、正直私は嫌われているかもな、と感じることもありました。

老健で働くのは向き不向きがあるように思いますが、子育てをしながら働くにはちょうどいいのかもしれません。子育て中のパートさんが多くいらっしゃいました。

利用者さんにとって私たち看護師は3番手くらいのポジションなので正直私には、物足りなく感じてしまいました。「もっとこうすれば利用者さんは楽なのに」と思っていても、すべてに関して多職種と相談し取り組まなければならず、少し面倒に感じてしまいました。それに対して、受け持ち看護師の判断次第でどんどん改善できる病棟はやはりやりがいがあり魅力的に感じます。

何度も言いますが、老健といっても施設ごとに大きく異なりますので参考程度にしていただけましたら嬉しいです。

決して他職員の悪口を書きたかったわけではありませんし、上司とも何度かぶつかることがありましたが関係性は決して悪くなく、むしろ良く尊敬もしています。

老健で働き続けることは出来ませんでしたが、20代でこの貴重な経験ができたことはまだまだ続く看護人生にとてもいい影響をもたらしてくれています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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