業務前の情報収集時間って何?~できる看護師へのステップアップ!!しかしこの時間をなくしたい~

 

こんにちは。

皆さんは業務前にその日の担当する患者さんの情報収集を行っていますか?

 

私は大体、業務開始の30分前には病棟につき、情報収集を行います。もちろん人によって何分前に来るかは異なると思いますが、この時間は業務前なのでお給料には全く反映されていないんですよね。

しかし、情報収集をせずに業務に入ることはできず、さらにこの情報収集が1日のカギを握ります。むしろ情報収集こそができる看護師になるための重要な業務の一つとなると私は思います。

ですが、これは立派な労働違反ですよね。なので、この時間をなくすための方法と対策を考えてみました。

 

 

そもそも、、、

 

なぜ業務前に情報収集する必要があるの?

それは業務時間内に情報収集をする時間がとられていないからです。【これ大問題】

例えば日勤の勤務の始まりとともに申し送り(引継ぎ)があります。その後、すぐに日勤者同士でカンファレンスが始まるため事前に情報を収集しておく必要があるのです。

※カンファレンスでは患者さんの病状や、本日の予定、今後の方針などを他看護師に伝える必要があります。

カンファレンスの後はすぐに環境整備やバイタル測定の業務に入らなければならないのです。

ただでさえ業務が立て込んでいるので、事前に情報収集をしていつどの患者さんにどの看護を提供する必要があるのかなどを調べ、如何に効率よくその日の業務を回るか1日のプランを立てる必要があります。

 

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 どんなことを情報収集しているの?

  1. 患者さんの疾患名
  2. 既往歴
  3. 入院までの経過
  4. 治療方法
  5. 検査結果
  6. 点滴
  7. 内服
  8. 清潔ケア
  9. 患者さんの現在の様子
  10. 入院してからの経過
  11. 食事の内容
  12. 医師の見解
  13. 今後の方向性

 

最低限この13個の情報は押さえておきたいです。しかし、これが一覧になっているわけではなく、膨大な量のカルテの中からさがし情報を集める必要があるのです。

 

例を挙げて情報収集を見ていこうと思います。

A氏 70代男性 脳梗塞のため入院。

という架空の患者さんがいたとします。

 

❶患者さんの疾患名

【心原性脳梗塞】

脳梗塞には3種類あります(ラクナ、アテローム、心原性)。そのうちのどれなのか、またどの血管が梗塞を起こしたのかが重要です。(右MCA、脳幹など)それによって症状や治療が異なるので看護も変わってきます。

カルテによってはこの重要な診断名がわかりにくいところに表示されていたりするので、最新かつ現在の最も重要な診断名を得るために医師の診察記録内を確認します。

 

❷既往歴

【脳梗塞、心房細動、糖尿病、もともと右上下肢に軽度の麻痺あり】

入院時に看護師がとった問診票で確認します。または、医師の診察記録を見ます。

この時にそれぞれの疾患の治療段階や通院状況などを確認します。また、持ち込み褥瘡がないかなど、入院前からある症状も抑えておく必要があります。

 

❸入院までの経過

【自宅で発症。帰宅した妻が発見し救急車要請。当院に入院となる】

これも問診票に書かれています。外傷の患者さんはなぜそのけがをしてしまったかなどの情報が得られます。

 

❹治療方法

【tPA治療、点滴治療、内服コントロール、リハビリ】

医師の記録をさかのぼり確認します。tPA治療後の観察項目、それぞれの薬剤の目的と副作用、リハビリの現在の段階とゴール目標をおさえます。

 

❺検査結果

【採血、CT、MRI、心電図、胸部レントゲン】

それぞれの検査結果ページに行き、データを確認する。採血は前回のデータと変わりがないか、それに対して治療方法に変化はありそうかを確認。その他検査も最新のものを確認しておく。

 

❻点滴

【薬剤名、効果、投与量、副作用】

何時に点滴が切り替えになるのか、一時間にどのくらいの量が投与されるのか、点滴を準備する時間がどのくらい必要なのかを知るために、医師の指示を確認する。それぞれの薬剤の効果、副作用を薬剤ページや辞書で調べる。

※たとえ間違った指示を医師が出していたとしても、最終的に行ったのは看護師になるため責任が問われます。

 

❼内服

【薬剤名、効果、投与量、副作用】

ほぼ点滴と同じ手順になりますが、医師の指示とそれぞれの薬剤について調べます。

 

❽清潔ケア

【清拭、口腔ケア】

最後に清拭を行った日を確認し、本日清潔ケアが必要か検討します。また、清潔ケアを患者さんご本人が自立して行えているかなどのADL状況も把握する必要があります。

 

❾患者さんの現在の様子

【まだ治療中ではあるが、リハビリも開始している。ADLは一部介助が必要。】

医師の記録と、看護師の記録から現在の状況をとります。また、心房細動については循環器科、糖尿病に関しては内分泌科に併進がかかっている可能性があるので、脳梗塞に関する情報だけでなく他科の医師の診察結果や治療段階を把握する必要があります。

患者さんの現在のADLの状況や精神状態を把握することで、本日もっとも適切な看護を検討できます。

 

❿入院してからの経過

【熱発した経過あり。現在は平熱となっているが医師は誤嚥を疑っている。】

現在の嚥下状態はどうなのか、看護師の記録やリハビリの記録を確認します。レントゲン、採血の炎症反応はどのような経過をだどっているのか把握し、必要があれば看護援助を再検討します。

 

⓫食事の内容

【嚥下食】

医師がオーダーしている食事内容を確認します。

 

⓬医師の見解

【脳梗塞の再発に努め、リハビリをすすめる】

結局は医師の指示あっての看護師の業務が存在してくるので、随時医師の見解を確認しておく必要があります。

 

⓭今後の方針

【可能であれば自宅へ退院、必要があればリハビリ転院】

医師、ご家族の今後の方針が一致できているか、病状説明の時の記録などを見て確認します。現時点でのゴールが明確にすることで、より最適な看護が提供できます。

 

 

かなり細かく書いたつもりですが、実際はもっと様々な情報をとる必要があるでしょう。しかし、❝患者さんの全体像❞をとらえるには当然のことともいえます。

 

その日のの受け持ち患者さんが7人だとして全員の❶~⓭の情報を集めるには相当な時間がかかることがおわかりになるでしょう。また、この情報収集がいかに重要かもおわかりいただけたと思います。これが業務前の賃金が発生しない状況で行われているのかと思うと恐ろしいですね。情報収集の時間を業務時間内に組み込むか、または毎回情報収集をしなくて済むシステムを作るかどちらかの方法がとられるべきだと思います。

この件について現在の管理者はどのように考えているのか聞いてみたいものです。

 

もちろん、2回目の受け持ち時や経験をもとに情報収集時間を短縮することができます。しかし、短縮できるだけで全くなくすことはこのままのシステムでは無理があるでしょう。

 

 

どうすれば業務前の情報収集をなくすことができる?

対策は2つです。

  1. 情報収集の時間を業務内に組み込む
  2. 情報収集をしなくて済むようにそれぞれの患者さんのデータのまとめをつくり、それをもとに毎回業務が行えるようにする。

 

❶情報収集時間を業務内に組み込む

これは業務開始の30分は情報収集時間として認める、または業務前に情報収集した時間を自己申請します。

 

❷それぞれの患者さんの情報まとめ用紙をつくる

最大でもA4くらいがいいでしょう。上記で述べた❶~⓭の項目と自由機記載できる項目を用意し、勤務ごとに更新することで次の勤務者がそれをもとに業務できるシステムができます。慣れるまでは大変かもしれませんが、このシステムがうまく活用できれば情報収集時間の短縮だけでなく、見落としも減らすことができるので毎回より適切な看護ができるようになります。

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電子カルテの入力情報をもとにこの用紙が作成されるようになったら大変ありがたいですね。最新のテクノロジーで何とかなるものなのでしょうか。

以前、電子カルテについて書いた記事はこちらです⇩

nsbinich.hatenablog.com

 

 

最後に

病院や病棟、急性期、慢性期、それぞれ状況は異なりますが、情報収集を業務前に行っている看護師は多いでしょう。賃金が払われないとわかっていても、この業務がいかに重要か理解している私たちはやめることは出来ません。より最適な質の高い看護を提供するには情報が必要なんです。

これだけの情報を漏れなく収集し、アセスメントにつなげ、最適な看護技術を検討するのは容易なことではありません。新人看護師にとってもかなりの難関といえるでしょう。

看護師がよりよい環境で働き、質の高い看護が提供できるように今後も考えていきたいです。最後まで読んでいただきましてありがとうございました。

 

 

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