気管切開後、気管カニューレ【単管】の管理で気を付けたいポイント~なんで最初から複管にしてくれないの?~

 

日々の業務の中で気管カニューレの閉塞の危機に直面したことはありませんか?

気を付けていたつもりでも吸引したときに

❝内腔が狭くなってない?もしかして閉塞しかかってる?❞(;゚Д゚)

と、もしそれが夜勤中だったら余計に焦ります。

 

そこで複管だったらすぐに内筒を取り外して洗浄することができますが、気切形成後は必ず単管でした。

❝なんで最初から複管にしてくれないんだろうか?❞と疑問がわいたので調べてみることにしました。

 

気切形成後にまずは単管を選択する理由

人工呼吸器につなげることができる。これが一番大きい理由だと思います。製品によっては複管でも人工呼吸器につなげられるものもあるようですが、私がいた病院ではそういったものは採用されておらず、人工呼吸器につなげる可能性がある患者さんは単管の気管カニューレを選択しなければなりません。

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気切をする前に挿管チューブで人工呼吸器を使用していた場合は気切後も人工呼吸器が必要となるでしょう。

また何らかの理由で緊急で気切形成をしなければならなくなった場合も、気切形成直後は人工呼吸器が必要なくても、その後さらに呼吸状態が悪化し人工呼吸器管理になる可能性があるため、単管を選択しておくようです。

 

管理のポイントは乾燥防止!?

  1. 気管カニューレの固定がしっかりされているか
  2. 患者さんの呼吸状態は安定しているか
  3. カフ圧に問題はないか
  4. 吸引はしっかりできているか

上記のポイントは気管カニューレの最低限押せえておきたいところです。

私が今回お伝えしたいのは、気管カニューレの閉塞についてです。経験のある方はおわかりかと思いますが、本当に閉塞しやすいですよね。粘稠度の高い分泌物がカニューレ内にへばりつき乾燥することで起こります。また潤滑剤として使用するキシロカインゼリーやキシロカインスプレーが閉塞のもととなることもあるようです。

 

もちろん医師も知らんぷりはせず、乾燥予防にネブライザーの指示や喀痰剤の指示を出してくれています。もちろん人工鼻も使用しています。しかし、それでも乾燥して閉塞の危険があるのが単管カニューレです。適宜、閉塞の危険性がある旨は医師に報告しておく必要があります。しかし、室内の乾燥を抑えたり効果的にネブライザーを使用するなど私たちにはできることもあります。あまりに乾燥がひどく閉塞しやすい患者には≪適宜生食ネブライザー可≫の指示をくれる医師もいました。

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別の病棟で働いていた同期から質問されたことがありました。

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ある日の夜勤で、気管カニューレ(単管)を挿入していた患者さんの気管カニューレが詰まりかけてしまい、呼吸状態が悪化しICUに入室した。その後、状態は安定し同期が働いている病棟に戻ることになったっが、その患者さんが「もうあの病棟には戻りたくない。息が苦しくて本当に怖い思いをしたんだ。死ぬかと思った。」と話され、その病棟に戻ることを拒否されてしまった。ネブライザーも医師の指示通りかけていたし、どうやって気管カニューレの管理をしているの?

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同期は患者さんに辛い思いをさせてしまったこと、自信の知識と技術不足にひどく落ち込んでいました。

 

言い訳するつもりはありませんが診療科や病棟によっては、必要となる看護知識や技術は大きく異なります。同期は気切形成直後の気管カニューレ管理は今までに経験がなかったそうです。

しかし予告もなく当外科の知識と技術を提供しなくてはならなくなるのが現場です。

普段気管カニューレを取り扱わない病棟の方でも、頭の片隅にでも置いておいていただけたら幸いです。

 

  • 【単管】気管カニューレは乾燥して閉塞の危険があることを忘れない。
  • 医師に乾燥が強く閉塞の危険性がある旨をきちんと報告しネブライザーの指示をもらっておく。
  • 夜間に気管カニューレを交換を避けるためにも日勤帯で閉塞しかかっていたら交換を検討する。
  • 乾燥の防止に努める。

だいたい気切形成後1週間でカニューレ交換が行われます。呼吸状態が安定してきていればここで複管にしてもらえます。

 

 

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以上が私が病棟で働きながら先輩や医師に教えてもらい、ネットで調べた内容です。気管カニューレについては、他にもカフの有無やスピーチカニューレなど奥が深いですね。私もはじめはよくわからず苦手意識がありました。しかし、わかっていくととても興味深いく、特に耳鼻科の指示はカフ圧量の指示まで出ていたりとても細かかったです。

医師がなぜそれを選択しているのか知ることって重要ですよね。すぐに❝何でですか?❞と聞けたらいいのですが、変な質問をして先輩や医師を怒らせるのが怖くて、後でひっそり調べていました。(笑)

 

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