先日、90歳の祖父を自宅で介護している母から、HELPコールがありました。
❝数日前に祖父が腕にスキンテアをつくってしまい、日々処置をしているがそのたびに出血が止まらない。どうしたらいい?何科の病院に行けばいいの?❞と。
スキンテア:主として高齢者の四肢に発生する外傷性創傷。摩擦・ずれによって、表皮が真皮から分離、または表皮および真皮が下層構造から分離して生じる。摩擦・ずれにより発生する外傷性創傷。皮膚剥離。
テアについて 一般社団法人日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術教育委員会
http://www.jwocm.org/pdf/about-tea.pdf
こちらに非常に詳しく記載されているので、興味のある方は見てみてください。しかし、傷口の写真もあるので苦手な方はご注意ください。
介護といっても祖父は自力歩行可能ですし、トイレや入浴に関しても自分で行えています。ただ年相応の認知力低下はあり、食事の支度などは出来ないので主に見守りながら必要があれば手伝うという感じです。
私が実家にいるときも祖父はよく腕にスキンテアをつくっていました。
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処置方法としては
❶出血があるときはしっかり止血する
❷水でよく洗う
❸石鹸で泡をつくり傷口に乗せ、数秒待ち洗い流す
❹傷口の皮膚をシワがないようにできるだけ伸ばし、元通りにする
❺傷にくっつきにくいガーゼ または ワセリン+普通のガーゼ で保護する
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看護師としては何のこともない処置ですが、素人の母は悪戦苦闘していました。
まず、消毒液を使用していたんです。
祖父はきっと❝痛かっただろうなー❞と思います、すごくしみたはずです。
母(;'∀')「傷口は消毒して乾かすのよね?そういうものよね?」
違うんです。確かに私が小学生の頃は転んだ傷口には消毒液を使用して乾燥させていました。しかし、看護学校に入学してからは❝傷口に乾燥は禁忌❞と習い、実際に看護師として働いているときも❝褥瘡には湿潤環境を整えろ❞という教えのもと業務にあたっていました。
❝消毒は身体が傷を治そうとしている様々な機能を障害していしまい、逆に傷を治りにくくしている❞そうです。
医療業界にはこういうことがよくあるようで、当然のようにやっていたことが、数年後には禁忌になっていたりする。。。。恐ろしいですでね。常に情報をアップデートしていかないと古い知識の人になってしまいます。
母(;'∀')「ガーゼを交換するたびに出血するの。どういたらいい?」
・ガーゼはそーっと剥がすこと。必要があればガーゼを水に濡らしながら剥がす。
・ガーゼでしっかり押さえて止血する。
・それでも止まらない時には、ワセリンを出血部分に乗せる
以上のことを伝えました。
母は消毒液を使用してはいけないことに大変驚いていましたが、エビデンスを説明したことで納得した様子でした。
また、傷口に優れたガーゼ(被覆材、ドレッシング剤)も薬局で購入することを勧めました。
その後、母から祖父のスキンテアがどうなったか連絡はありませんが、逆になにも連絡がないということは問題なく過ごせているのだと思います。
最後に
母にも聞かれましたが、私の祖父の場合は熱感や腫れがなければ受診する必要はないと思います。しかし、傷の状態やその方の持病によっては受診が必要となりますので、ご注意ください。責任は持てません。
看護師が病棟で整った物品を使用して処置するのとは違い、自宅で介護している方が慣れない物品で処置することは容易でないと思います。
この記事が自宅で介護されている方や医療者のいない介護施設等で働かれている方のお役に立てましたら嬉しいです。